私が所長Kです、趣味を中心に展開できればと思います。


by elise-4550
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VT-25までの道程

ずいぶん半導体だけでオーディオをやってきました。また、長い間大学に残っていたため貧乏オーディオが続いていました。いや、オーディオだけは身分不相応に贅沢していましたかな?

何せ、奨学金は全てSPのローンに回していましたから・・・日本育英会様すみませんでした。7.5畳の洋室に400Lの自作箱を二台押し込み1.5mの至近距離で聴いていました。そこはベッドの上です。

「MJ」や「ラ技」に掲載されている真空管の製作記事は当時の私は飛ばして読んでいました。半導体アンプをやっている人にありがちな事ですが、パーツの銘柄を吟味し、自分の選んだもの以外は「音楽が鳴らない」という理由で排除し、抵抗や線材の方向性まで追求する次第です。

そして、自分の作るアンプはもうどれも判別できるほどの差はない事は判っていました。
だんだん自分ががんじがらめになってゆきます。薄々、自分が今信じている世界は気のせいで、もう一度ブラインドで検証すれば崩れてしまう部分が多い事にも気付いていました。

仕事を持ってもオーディオ熱はさめなかったので、いろいろな機材に接する回数は多くなりましたが、当時の私の機材評価は「絶品」か「ゴミ」で、だいたいは後者なのでオーディオ屋のおやじから見たら困った客だったと思います。はっきりものを言うため気に入られて友達付き合いになった事もありましたが。

そんなときについ魔が差してEL-34のppアンプを作ってしまいました。偶然TELEFUNKENのEL-34を20本手に入れたせいです。半導体出身者らしく、二段構成の直結アンプでした。出力段電源までレギュレーターで安定化していたのは云うまでもありません。

その音を聞いて何だか判らなくなりました。それまでのアンプの音とは全く違い、比較のしようがありません。じゃあ「ゴミ」かと言うととんでもありません、いい音なのです。自分がやっていた狭いオーディオを思い知らされました。音楽を聴く上で音はいろいろあって、山脈のようにいくつも良い音のピークが存在するという当たり前の事が愚鈍な私にもやっと判ったようでした。

おかげで現在我が研究所は、既に紹介した通り、置き場所が許す限りさまざまなSPが入っていて、「いったいこの人はどんな音を好んでいるのか?」という感じになっています。それぞれが別の良い音のピークを目指すための道具です。こうなったらオーディオのワンダーランドを造るしかないのかもしれませんが、経済的な限界が私を止めてくれています。

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話が長くなりましたが、真空管に感染した第一段階はTV-25に明け暮れました。その姿態、トリタンフィラメントの輝き、中高域の独特な音質が私を魅了しました。現在でもオンケン型マルチダクトシステムとガレージの4550ダブルシステムの中音ホーンはそれぞれVT-25で駆動しています。

上記のアンプはオンケン型マルチダクトシステムに使っているモノラルのパラシングル(ps)です。これは、旧タンゴトランスが元気だった頃、プッシユプル(pp)との比較のため電源トランス特注で製作したものです。

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これがその戦いに敗れたppの片割れです。勝敗は明らかでした。ほぼ同じパーツと同じ技術者が自信を持って送り出したであろう同クラスの出力トランスなので、これは出力回路の違いと思います。

ただし、ppは直熱管でも交流点火で残留雑音1mV以下に出来ます。psは直流点火で7.5Vものカソード電位勾配がある事になり気持ち悪いので、ppのフィラメントハム打ち消しは利用したいものです。

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そこで考えたのがSEPP回路です。つまり、ppの音質劣化は出力トランスの電磁誘導でpp合成をする事にあるのではないかと言う事です。ならば、直列型SEPP出力段回路でpp合成をしてしまえばトランスはSPへのインピーダンス変換のみでよくなり、高音質が期待できます。もちろんハム打ち消しは交流点火で大丈夫のはずです。今度はステレオで製作しました。

この回路形式では出力段は交流的に並列になるので、出力トランスのインピーダンスが通常のppの時の1/4でよく、内部インピーダンスの高いVT-25でも市販品に多い5kΩpp用が使えるため調達が大変楽です。ここではLuxのCZ型を使いました。

SEPPで問題となる出力段のドライブはインターステージトランスとし、いわゆる「打ち消し」問題に対応しています。もちろんここでも信号のpp合成はしていません。

結果は望外の成功で、SEPPの所為かインターステージトランスの所為かは判りませんが、psにはなかった音質の「ねばり、こく」といった感じも出てきて、傑作となりました。この形式のものを現在、VT-25で3台、WE-101Dで1台、STC-3A/109Bで3台製作し、 いずれも好結果を出しています。
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by elise-4550 | 2009-04-26 04:00 | オーディオ | Comments(0)