私が所長Kです、趣味を中心に展開できればと思います。


by elise-4550
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怒濤の製作

中学時代からあれこれ工夫して小遣いを工面して時間を無駄にして、なんとか音量コントロール付きEQアンプ二台と、パワーアンプは15W A級、40W AB級の二台を作っていたのが高校時代です。EQアンプはNF型とCR型、A級15Wは二段差動、AB級40Wは対称回路でした。その後も、これらのアンプはシャーシ、電源部、ヒ−トシンク、出力段Trはそのままで、各種回路や比較試聴に改造され続けました。どれだけ作り替えたか今は覚えていません。

今でもA級15Wのヒートシンクは残っています。当時は金田式のアンプでなくてもNECの2SA627と2SD188は普通でした。

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その後、出力段は、V-FET,MOS-FET,RET,EBT,SLPT等が矢継ぎ早に発売され、半導体アンプの世界は大変なピークを迎えます。こちらとしても自作による追試のスピードが追いつかなくなるくらいでした。当時は今がピークという感覚はないため、このままこの世界はどこまで広帯域、高出力、低歪みになってゆくんだろうかと思っていました。

また、新回路や新方式の開発も相次ぎ、それらを全部理解しても、全部実験をするわけにはゆかないため、必然的に音楽の再生にとって本質的なアイデアかそうでないのかを判別する能力が身に付きました。今も昔も販売のためのギミックは多く存在しています。

そんな中で、1980年初頭に発表されたYAMAHA BX-1には大きな影響を受けました。

TrのコンプリメンタリppでA級バランス出力を構成すると、その範囲では電源側から見たアンプは一定電流で電圧変動が起こりません。これはそのまま、トランスやケミコン等の電源回路に音声信号が流れない事になり、これらの非直線性の影響を受けない回路になるわけです。目からうろこの回路でした。おみごと・・・

別の見方をすれば、バランス出力の片側がもう片側に対して、ほぼ完璧なシャントレギュレーターとして働くという事です。もちろんその上、出力も増大します。

当時の私には最終兵器のように思えました。ただ、非常に多くのパーツ代と最大級の質量と膨大な発熱が予想されます。オーディオはアンプだけに予算を回すわけにはゆかず、アンプにしても他にやってみたいアイデアは沸いてくるので、この最終兵器の製作は遅々として進まず、1983年にやっと完成をみました。

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生まれて初めてのローンで購入したリーダーのオシロスコープや低周波発信機等のおかげでした。

初段は当時ふんだんに入手出来たFETを対称コンプリ差動で用いて、そこから生じる4つの出力を全て対称コンプリ差動の二段目Trに渡しました。その上、全て、カスケード接続にてVgdを固定しミラー効果を防いでいます。

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出力段はSLPT Trを用いたMOS-FETドライブの二段ダ−リントンで、片側4パラ計8ペアーの出力段がSPに繋がります。更に、よせばいいのに、電圧増幅段、出力段の電源をそれぞれ、当時はやりのppレギュレーターで安定化するといった凝りに凝ったというよりミーハーな何でもありの若気の至り的アンプでした。バランスA級出力100Wです。

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入力は余計な回路なしでバランス、アンバランス入力が出来るように、片側づつ反転アンプ構成として、全ての回路をNFBループに入れています。この回路は帰還抵抗の値に実用上の上限があるので入力インピーダンスがあまり高くとれないのですが、それでも片側20k程度とれています。

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パーツも当時いろいろ実装して音質的に最良と思われるもので固めました。タムラのトロイダルトランス、ニッケミのGW型ケミコン、シンコーのタンタル抵抗、双信のppフィルムコンデンサー、日立ラミネートパワーブスなどです。

さて、肝心の音です、緊張の一瞬でした・・・
静かです、もちろん音は出ているのですが、音楽以外に余計な音がしない感じなのです。情報量が少ないわけではありません。むしろ、音の分離や空間の感じは苦もなく聞きとれます。高域がどうの低域のしまりがどうのいう次元ではありません。ワー参った、こんな音を出してしまったら、オーディオ好きとしては引き下がれないじゃないですか、これから何組もこの規模のアンプを作るなんて財布と床が悲しすぎます。

このアンプは実の所、安アパート暮らしの大学生になっていた私にとって、そう長い間使う事は出来ませんでした。こいつは私の部屋のブレーカーを確実に飛ばしました。その後何年かは、消費電力と音質のせめぎ合いの中でオーディオを極めるという、今の F-1や自動車会社のような戦いを強いられるわけです。
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Commented by flashdaiyouryou at 2009-05-10 10:43
中学生の頃からアンプ造りに熱中されていたのですね。
どうりでお詳しいわけです。

私なんて中学生の時は走ってばかりいました。
陸上部だったもので・・・。
Commented by elise-4550 at 2009-05-10 11:13
flashdaiyouryouさん、コメントどうもありがとうございます。

専門は化学系なので別に詳しくはありませんよ。ただ、昔から飽きずに続いているだけです。

自分もマルチセルラーを自作できたら良いなあ・・・と思っています。音がいいのは体験済みなので。
Commented by ベル@足利 at 2009-05-10 21:13 x
今晩は、足利のbellです。ブログ拝見いたしまして貴殿の研究の数々大変感動いたしました、と同時に「オカルト」が多いオーディオの世界で極めて論理的かつ「音楽のためのオーディオ」に対する深い解釈に感動しております。AクラスBTLでお互いが完璧なシャンとレギュレーターとして働くパワーアンプはBX-1以前にFIDELIXのLB-4という製品があります。私の尊敬する要チェックの凄い会社です。最近はオーディオ以外の世界で活きておりますが趣味人として復活しようと思っております。よろしくご指導お願いいたします。
Commented by elise-4550 at 2009-05-10 22:28
bellさん
お久しぶりです、お元気ですか?
そうですね、フィデリックスの中川さんのことは、前も話題にしていましたよね。
世界レベルの素晴らしい人材ですね。
当時の自分はそれを知らず、BX-1で知ったわけです。
お互い離れていますが、ぜひまたお会いしたいものです。
今後ともよろしくお願いします。
by elise-4550 | 2009-05-10 01:10 | オーディオ | Comments(4)