フォノEQの製作-2
2012年 11月 28日
はじめに計画した初段をFETでG接地S入力の電流増幅する作戦はどうしても入力オフセット変動が収まらず、新しいアイデア待ちということになりました。
そこで、以前から試しているバイポーラTrによるB接地E入力に変更しフォールデットカスコードでアース基準の信号にした後、パワーアンプでは(自分の)定番になっているフローティング電源中点出力のコンプリメンタリエミッタ接地を二段目に配しました。ここもカスコード接続で第一ポールは初段出力とアース間の位相補正にて決めています。
NFBアンプのポール設定にミラー容量を用いないのは高音質への近道だと思います。
RIAAイコライジングはいわゆるNF型ですが、MCカートリッジの巻線抵抗をNFループに使っているので、ゲインははっきりとしません。インピーダンス10ohmのカートリッジで700倍(at1KHz)程度です。
ゲインが高すぎるのではないかとお考えの方も多いと思いますが、計算上も実用上も問題はありません。経験上、ノイズその他の諸特性は劣っても、フォノEQで大きく増幅してやった方がその後にゲインを稼ぐより高音質になるようです。
昨今のデジタルソースが2Vrms位を標準にしているようなので、切り替え時の極端な音量差をさける上でもMC型ではこのくらい必要です。もっと大きくてもよいと思います。
やはりフォノの電流入力は不安定で、アンプ入力端子までの状態を選びます。また、いったん安定しても何かの拍子に不安定なハムを引いたりします。入力直列に1ohm程度の抵抗をかませば安定になるのでしょうが、2~15ohmのカートリッジにそんなことをするのはいかがなものかと思っています。そのうち試しますが。
また、左右の回路を同一シャーシに入れるのもよくないようで、現在、回路の異なる2組のフォノEQ用に加工したシャーシにそれぞれの片chずつ入れて二台分として比較試聴しています。接続切り替えは入出力のピンプラグを抜き差して行います。
このサーキット専用車のような使いにくさは、とても他の方に勧められるものではありませんが、音質はこれまでのフォノEQとは別世界です。同じカートリッジとは思えない音質にうれしいやら戸惑うやらで、カートリッジの再評価のようなものです。
全てのカートリッジが鮮度が高くエッジが効いてかつ重量感のある方向に変化します。従って、全てに万能な音質向上ではありません。つまり、「別世界」なのです。正直、今まで何となくもやもやして、力不足で冴えなかったカートリッジが真価を発揮してしまい、自分が使いこなせなかっただけだと反省させられます。
これまでに積み上げた方向のフォノEQの存在価値も感じますが、今回の製作は、音への対応範囲が広がり、かなりのメリットだと思います。