<一石二鳥> 音量調節付きCHディバイダ <苦肉の策>
2013年 12月 06日
10日ほど前にインピーダンス600ohm入力用CHディバイダを製作しました。
今まで使ってきたCHディバイダで、音質的に上位にあるものは全て入力インピーダンスが600ohmのパワーアンプには使用できません。
「出力にバッファー段を挿入するだけだ」と思われるかもしれませんが、そこが、個人的には問題でした、各種エミッターフォロワー、ソースフォロワーや雑誌等に載ってきた0dBバッファーのほとんど試してきましたが、必ずすきま風の吹いたような寂しい音になります。綺麗に音が出る回路もありましたが、音楽と自分の距離が離れたような、音の抑揚と情熱にかける方向に変化してしまいます。そこを逆に利用できない限り、利用価値のない代物でした。
結局、CRのみのCHフィルターと真空管の銘柄を選んだカソードフォロワーを用いたものを現在使用しているという現状でした。後者の音質の充実ぶりは解明不能で、普通カソードフォロワーも良い音がするはずがないのですが、みっちりと音の詰まった、かつ綺麗に広がる音質の球にたまたま偶然出会いました。他にも回路やパーツ等に理由があるかもしれません。
そこで今回はプリに使用している回路を応用してゲインのあるディバイダを製作することにしました。FET入力フォールデッドカスコードの定番回路です。これでなんとか600ohmが駆動できそうで、また、レベル調節も帰還抵抗を可変にすることで可能です。出力インピーダンスを上げることはありません。どれもプリアンプで使い続けている信頼できる方法です。音質をなるべく劣化させない現時点での最良の選択肢でしょう。
問題は2点です。1つは回路的にはプリアンプ二台分と同じものを信号が通ることになりその劣化が多分聞こえてくるだろうこと。先ほど「最良の選択肢」と書いたものの、音質劣化(変化)は感じています。特に初段FETが原因と思われる「つるっとした」音は、最近バイポーラTr入力の同形式プリを製作して気付いています。逆にTr入力は「ざらっとした」音な訳で、こちらは発振安定性と低入力インピーダンスのせいで今回使えません。
少しでも信号が通る増幅段を減らすために、入力の音量調節も装備してプリアンプとしての機能も兼ねさせることにしました。これで、アンプユニット1台分を減らせます。入力の音量調節といっても音質的に問題の多いアッテネーターではなく帰還抵抗を可変にして調節する今までのプリアンプと同じ形です。
入力は2系統用意しましたが、入力切り替えは、SW、リレー共に音質劣化をさんざん経験しているので、今回は接点無しの加算式にしました、逆相アンプが元々加算回路そのものなので、2つの抵抗値で入力のゲインを9dBほど変えてあります。低ゲインがDAで,高ゲインがフォノEQとし、同じつまみ位置で音量変化がないようにしています。
2つ目の問題は部品点数が多いことです。ステレオプリアンプにして4台分を載せなければなりません。通過するアンプは各帯域ごとに2ユニットですが、3wayなのでこうなります。ハンダ付けは好きなのであとは根性で何とかなりますが、Trの選別がたいへんです。貴重なPch接合型FETを数多く消費します。さらに、3枚目写真のように8トランスを積むことになりました。