私が所長Kです、趣味を中心に展開できればと思います。


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真空管プリアンプ(1)

ここ数回のブログ記事は現在進行中の話ではなく、数週間前のことを載せています。理由は単にブログの更新をさぼっていて、オーディオ作業の進行が早いということです。写真を撮り忘れて闇に流した話題もあります。

さて、人は誰もが時折真空管プリアンプを作りたくなるものです。私も2月中は3週間ほど1台のプリアンプに掛かりっきりでした。

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フロントデザインは過去最低の不細工さです。見るたびにがっかりしますが、8Uのラックアングルに取り付けて下に他のEQアンプ等を置くことで何となく見慣れてきました。

このフロントパネルは単に必要な機能を求めた結果です。アンプは高さを抑えて薄く作ると格好がつくものですが、今回の150mmの高さはそこに積むトランスから決まりました。また、生じる発熱を逃がす上でもこうなります。

真空管プリには付けることが多い低域ブースト回路は見送りましたし、接点による音質劣化が思いのほか大きいので出力は1系統にしました。これだけでいつものプリよりもツマミが2つ減ることになり、ただでさえ広いフロントパネルは更に間が抜けたことになっています。ツマミ位置も回路要請上の電気的合理性を優先させています。

というわけで、見るに忍びないことになっていますが、音質的には新しい境地を確立したといえます。全く方向性の異なる前作(二年前に製作)を除けば、他の手元にある真空管プリおよびフォノEQは全て音質的に過去のものとなり、使う気がしなくなってしまいました。まったくもったいないことです。

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今回最大の試みはポジティブフィードバック(PFB)の積極的活用とTL-431によるシャントレギュレーターを全段個別に施したことです。

PFBというと発振のイメージがあり先入観で嫌われている気がします。もちろんこれはレベルの低い偏見で、立派な電子回路テクニックの1つです。その所為も有ってか、雑誌等で発表されるアンプ回路で見かけることは少なく、たまに識者が用いても「ふりかけ」程度の補助的な量です。おそらく先ほどのオーディオ的先入観と回路設計及び測定に自信がないためと思われます。PFBはNFBと同じく理論的に確立されたテクニックで適材適所に正しく使えば非常に優れた結果が得られます。

また1つのオーディオ的先入観(というより一派)に「NFBをかけると音が死ぬ』というのがあります。これは私も経験したことがあり、一時は意識していましたが、現在はその理由を自分の中では解決しています。

その内容は長くなるのでやめますが、いくつか書いておくと、「単に回路の逆相部分に信号を戻して発振しなければ良し」という低レベルではそりゃ音質向上は望めません。矩形波が綺麗に通ってもです。雑誌やアマチュアの製作品にこのレベルのものが多くありNO-NFB信者を増やしています。

「ちゃんと時定数をとり、スタガー比を確保して設計している」でも、まだ音質は悪化します。機械制御じゃないんですから、計算で破綻せずそれを実測で確かめたくらいでは「聴感上」というあやふやであやしいけれどじわじわ効いてくる試験を通りません。測定結果はすばらしいと思いますが。

話がNFBのほうへそれました。今回PFBを使うのは、NF型RIAA等価回路において、真空管による2段の増幅では得られるゲインの関係で、可聴域の下限ではNFBが十分にかからないからです。ほとんどの真空管EQでは、その少ない余剰ゲインとの兼ね合いで低域時定数を大きく変えて、「割れ鍋に綴じ蓋」的にRIAA偏差を合わせ込んでいます。自作アンプはもとより、往年のマッキントッシュ、マランツの回路定数もそのようなことが行われています。

この問題に関してPFBは「一石五鳥」的に都合が良いと思っていました。①低域ゲインが十分上がる。②PFBの原理として高域ゲインが下がり、NF型フォノEQで苦労する発振対策が楽になる。③うまく調整すれば可聴域でのNFB量をほぼ一定にできる。④微小信号領域にわざわざ不利な小電流高内部抵抗の真空管(X7等)を使わなくてすむ。初段の真空管を選ぶ範囲が広がる。⑤宍戸公一氏のお言葉(PFBの音質傾向)

構成は古典的な2ステージで、フォノEQを中心としてフラットアンプと組み合わせています。片chあたりフォノEQに3球、フラットアンプに2球用いています。フォノEQの使用球は初段からECC189-6AK5(WE403)-ECC189です。初段はいつも通り双三極管のカスコード接続です。2段目は普通に5極管増幅、終段は真空管負荷のカソードフォロワー(CF)にしています。フラットアンプはECC189が2本、初段が双三極管のカスコード接続に終段は真空管負荷のカソードフォロワー(CF)です。

EQ部のPFBはCF出力から二段目のカソード抵抗へ施します。直結にしたいところですが、CF段の出力電流が全く足りないので、3.3μFのフィルムコンデンサー(ASC)で切っています。わざわざ音質的に失敗しやすいCFを持ってきた理由は、PFB送り出し側の電流的余裕がこの手法の勘所とわかったからです。むしろ、PFBを強く施すと二段目とCF段をそれにより結合した1つの増幅段としてとらえて、その特徴を目一杯引き出すことが有利と予想しました。

フラットアンプにもCF段から初段にかけてPFBをかけたあとに終段から初段グリッドにNFBを施し、反転アンプとして帰還抵抗を可変とすることで音量調節にしています。私の半導体アンプはほとんどこの形式で音質へのダメージははこれが最も小さいと聴こえます。真空管プリでも、前作からこの方式に変更して明らかな好結果になっています。

ただ、前作は真空管1段のいわゆるP-G帰還だったのに対して今回はCF段付きで、更にPFBをかけているのでその進化版です。

話が長くなったので今日はここまでにします。
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by elise-4550 | 2014-03-07 20:35 | オーディオ | Comments(0)