私が所長Kです、趣味を中心に展開できればと思います。


by elise-4550
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2014年の211シングルアンプ(2)

前回の続き

フィラメント定電圧DC点火の音質は、元気が良いといえば聞こえは良いのですが、しかるべき環境で聴くと実に大味な一本調子で、音像定位や空間情報が欠落しています。周波数特性より音像定位を大切にする自分としてはどうしても許せない音質なのです。もちろん、私の知人にも何人かいますが、定位は二の次で音を浴びたい派にはこれでいいのかもしれません。ある人は私に、「ステレオの定位は自分には判らん」とまでいう「オーディオマニア」でした。最近お会いしていませんがいかがおすごしでしょうか

定電流点火は逆の傾向を持ち、空間情報等がしっかり得られると感じています。不思議なことに、定電圧の時と比べて音量が下がったように聴こえるのも特徴です。ただ、定電流回路で音質が変わることも感じるので、この辺はかなりデリケートであり、直熱管アンプの重要ポイントだと思います。

AC点火の音質は今回の試作後に再確認して感想を述べたいと思います。

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②動作点について
211等の送信管はグリッドをカソードに対してプラスの領域まで励振するいわゆるA2級増幅が有名です。そこまで振ると、211の標準動作でA1級のとき約10Wのところ、A2級で30W程度の出力が得られ、「さすがは211」ということになります。ところが実はこの出力増加はオーディオ的には意味のない、むしろ害の多い出来事です。

かつて同一アンプによる845,211,203,838,805の聴き比べをおこないましたもちろん、音量は揃えてます。それぞれに特徴のある音質で、一番気に入ったのは203でした。

そこで、203専用のアンプを製作したところ、ガサガサのひどい音で、この原因を追及して判ったのは、比較試聴に用いたアンプはプレート電圧1100Vで、μ20の203でも-20V程度の負バイアスで動作していました。用いたSPの能率も高いので、全ての音楽はA1級で動作していたのです。一方、専用アンプはトランスの都合で、850V程度で働かせたため、ゼロバイアスに近い条件になっていました。

ご存知のとおり、真空管はゼロバイアス近辺からグリッド電流が流れ出し、前段の動作としては全く異なる負荷となります。その領域を波形の上と下で行ったり来たりする零バイアス動作点は非常に大きな歪みを発生するわけです。以前、宍戸氏が801をゼロバイアスで動作させるアンプを発表されていましたが、聴いていない私がいうのもなんですが、非常に「個性的」な音質だったと予想されます。

ではグリッド電流を流す動作全てがまずいかというと違うようです。つまり、811や838のような動作始点が元々プラスで常にグリッド電流を流すアンプは作り方次第で相当高レベルな音質になります。雑誌等にいくつもの成功(?)例があり、自分でも製作して確認しています。ただ、A1動作の送信管を使ったアンプとは全く異なる傾向の音です。私は結構好きです。

要は、音楽信号が真空管の動作点の負と正の領域を行ったり来たりしなければ良いことになります。これはいろんな手で前段の出力インピーダンスを下げてグリッド電流の影響を軽減して、測定上は気にならなくても。聴けばわかってしまいます。

「211は約10WまでA1級なのだから音楽信号は普通その領域だけで動作しているので問題ないだろう」と思われるかもしれませんが、そうはゆかないのです。つまり、A2級動作に耐えられるように前段を設計するということは、ほとんどは前段がカソードフォロワーか出力管級の球を用いたトランスドライブなので、よりによって音の主張のきついものばかりです。その音質が支配的になって聴こえてしまうわけです。そして、そのどちらも私好みの逆の音です。少なくとも、送信管の特徴と認識している独特な清涼感のある音質ではありません。大半の211アンプがカソードフォロワドライブなのは211にとって悲劇だと思います。逆に言えば、カソードフォロワーの濁った平面的な音を背負ってもあの高レベルというべきでしょうか。

今日はここまでにします。
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by elise-4550 | 2014-03-20 06:31 | オーディオ | Comments(0)