私が所長Kです、趣味を中心に展開できればと思います。


by elise-4550
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[友人宅での使用状況]

前回の巨大OTLからしばらくこの形式のアンプからは遠ざかっていました。もちろん、オーディオは続けていたわけで、いろいろ別のテーマに気が行っていたという事です。他の件で当社比の音質的向上を果たしていたため、後回しになっていました。

そのかんも、雑誌等ではOTL関係の情報はもたらされ、①宮崎良三郎氏のポジネガ打ち消し回路、②金田氏の電流出力ドライブ回路、③故藤井氏の数多くのアイデア、等が、実験製作意欲と好奇心を刺激してくれました.

やっと、近年になって、半導体アンプ、出力トランス付き真空管アンプ、それぞれの最高と思われる構成と、実用的に使える構成の二系統が完成し、それらの数も十分足りてきたため、いよいよ真空管OTLに意識が回るようになりました。

気になっていてまず取り掛かったのは、以前にも参考にさせていただいたに山口美紀氏の製作記事でした。それは、MJ誌 1994 11月「6336A 直結ドライブ直流帰還OTLアンプ」です。記事中で、ご本人もお書きになっていますように、前出の②金田氏の電流出力ドライブ回路、にインスパイアーされての製作です。当時の金田氏の電流出力ドライブ回路と比べ、改変点に利点が多く、回路的にも洗練されているので気になっていたのです。

ずいぶん時間が経った後の追試ですが、自分なりに手持ちのパーツ類を用いて、若干の改変点も加えて製作する事にしました。パーツ類は長年にわたり、OTLを作るときのためにいろいろ集めてあったのです。ただ、以前の経験から、大発熱、大電力消費になりがちなのは判っていましたので、最初からコンパクトを心がけ、放熱にも注意を払いました。

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球は手持ちから、ロシアの6P19BとUSAの6082を用いました。6P19Bは1シャーシに4ch、6082は2chを載せ、電源は別シャーシに共通しておくという形をとりました。これは出力段電源が共通に使える電源接地型でなければできない構成です。出力段専用のトランスは、300VAを二基用いて十分な容量を確保します。前段やヒーター等の電源は、別トランスで供給します。これは、ミューティングのため遅延タイマーを設置する時にも都合が良くなります。

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これだけで3WAY マルチアンプシステムが構成できます。早くオールOTLの音が聞きたかったのです。そして、初段には高gmMT管の6EJ7を使いました。主なゲインは初段で稼ぐ設計にあわせての採用です。二段目兼レベルシフトは2SA1546にしました。耐圧がぎりぎりですが、うまくやりくりすれば使用可能です。

6P19B 4chの方は発熱が大きいので、内部にファンを設け、下から強制冷却しています。ファンは定格の1/2電圧で回し、騒音を抑えています。

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完成後、調整測定時になって、DCドリフトが多い事に気付きます、150mV程度あり、この値は「現代型」SPでは設計上も磁気回路的にも特に問題は生じませんが、アルニコを使ったビンテージ系にはためらわれます。とりあえず「現代型」で音質を確かめてみました。

その音質は・・・「瑞々しい音」です、感覚的な表現で申し訳ありません。自分のオーディオに、また別の世界が広がりました。「SPとけんかしない音」と言って伝わるでしょうか?「滑らか」とは違います、音のくまどりは弱めです。何よりその色彩感と言いましょうか音色の変化が多彩で、そのSPの良い所を更に伸ばしてくれる気さえします。

問題のドリフトですが、金田氏は二段目へのDCサーボ、山口氏は初段のDCカットで対処しておられます。私は、以前の経験から、昔STAXで用いられたDC全帰還の回路が音質的弊害が少なく、数点の受動部品のみにて構成されとてもエレガントなので、これを用いました。予想通り、DCドリフトは10mV以内に収まりました。これで、どこに使う事もできます。

新しい音を手に入れて非常に大きな可能性を感じました。この形式のアンプが、当研究所で数的に満たされるまで作り続けられるような気がする今日この頃です。ただ、この作業に大きな漏れが生じるのは、いつもの事とは云え、歯がゆいばかりです。当研究所の目ぼしい成果は、時折の訪問者により簒奪の憂き目に遭う歴史を繰り返しています。

現に、この非常な努力と貴重な時間の結晶とも言える3wayマルチ用セットは当研究所で使われる間もなく手元から消えて、友人宅の3wayシステムを今までにない音質で鳴らしています。

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その後、今度は電源込みでステレオ構成の6082 OTLを製作しました。

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by elise-4550 | 2009-05-30 00:31 | オーディオ | Comments(1)
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このかん、今まで製作したパワーアンプの目ぼしい展開を書かせていただいています。実際には取るに足らない製作、もう記憶がおぼろげなもの、失敗作、は飛ばしていますので、実際にはもっと回り道をして、見当外れな事も多かったわけです。

ただ、そろそろ何かに記録しておかないと、回路図等は残っていてもどのような経緯でそれを行ったのか、という必然性や展開を思い出せなくなる日がいつかは来るのではないかということで、覚えている範囲で記録しています。

当然、最近の事は詳しくなります。パワーアンプで最も最近の動きは、真空管OTLアンプになります。これも、最初はけっこう古く、当時のソ連がペレストロイカ政策を執ってくれたおかげで、6C33Cが以前より格段に安く手に入るようになったのです。PAL(当時滋賀にありました。)さんや、アトモスさんから大量に仕入れて、製作を始めました。

そのきっかけは、MJ誌1990 3月号、佐藤康夫氏による投稿記事です。この製作記事はアンプ自作派では「知る人ぞ知る」という感じで、全て真空管で全段直結-OTLアンプを発表した珍しい例と思います。

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初段は交差型、二段目は五極管による差動増幅、出力段は6080の4パラでした。いわゆる「打ち消し」は二段目の負荷を三極管による能動負荷とし、そのグリッドに出力を帰還する事で行っていました。非常に優れた独創的な製作で、このような突発的な記事がそのままにならず、発展連載する事を願いましたが、これ以上の進展はありませんでした。

初段と二段目を高抵抗(150kと1.5M)でレベルシフトしている点、出力段バイアスが二段目のドリフト変化をそのまま受ける点、長期安定性、など検討する点はあるものの、当時初めて真空管アンプを組んで「目覚めた」半導体派の私には魅力的なテーマでした。

出力段は球(6C33C)のOTLで、その前段を半導体構成としても、私にはなんの抵抗感もありません。そのことで、前記の弱点を解消できるはずです。更に、その頃例の半導体A級バランスアンプの成功に盛り上がっていたので、このアンプも、同じ構成をとる事にしました。

球アンプ第二作でこれほどの大作は、まさに傍若無人だとベテランの方から思われる事と思います。今の自分で、近くにこれと同じ人がいたら止めますね。

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回路はクロスゲート回路とシャントレギュレーターTL-431を組み合わせた意欲的なものでした。TL-431の温度特性を利用して、安定な動作を確保します。そして、モノラル-DCアンプにしました。6C33Cは片チャンネルに8本、つまり、片側出力あたり2パラPPです。8本の理由はヒーター12.6Vを直列にして、AC100Vにて直接点灯するためです。

6C33Cのエージング、セレクションにとても手間がかかります。発熱量が半端じゃないので、熱的安定性がとれるまで測定値が激しく変化し、作業を焦るとやけどするし、大変でした。

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製作は鈴蘭堂のSL-20を使い、トランスは半導体アンプ用のかなり大きなものを使いました。二台並べると、6C33Cが16本林立し壮観でした。巨大なA級バランスアンプたちの中でも異彩を放ち、製作意欲がいやがうえにも増します。

そして動作は・・・しました。

音は・・・でました。

それまで聴いたどのアンプよりも「高貴」な音でした。もちろん私のようなものが「高貴」が判るのかといえば判りません。ただ、今までにはない音質に対して、それ以前に聴いた音との比較で、そんな感想が出るような音だったという事です。当時の自分にとって、何も音質的に文句のある所はありません。多分、自分のオーディオ経験にはないタイプの良い音を偶然出してしまったのだ、と 今は思えます。当時の感想は。それ以上思い出せません。後で述べる二つの理由でそんなに長い間聴かなかったからです。

[球は暫定的に挿しています動作はしません]

実はこのアンプでアポジーDIVAを駆動しました。なんと、普段聴いている音量が出せたんです。もちろん公称最低インピーダンス3ohmで、バランス出力なので、片側出力段あたり1.5ohmであり、 試験的に鳴らす以外はやめたほうが良いでしょう。

ただ、ステレオの2台で約1.2kWの電力消費は非常識で、どうかすると、当時のマンションのブレーカーが飛びます。少なくとも夏使うのはは嫌です。よって、このアンプは何か特別なときだけ繋ぐ事にしました。また、放熱設計が楽観的で、長時間の連続使用では、壊れないものの、触れないくらい熱くなります。だから常に扇風機の風を当てて強制冷却していました。

そんな扱いで部屋の床をふさいでいたこのアンプは、地震によるDIVA倒壊の下敷きで、6C33Cが割れ散乱し、我がリスニングルームを大日本プロレスのデスマッチ会場の様にしてその短い生涯を閉じました。その想い出は、悲劇の大空母「信濃」と同じくに我々の心に深く刻み込まれたわけです。

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by elise-4550 | 2009-05-28 00:41 | オーディオ | Comments(2)
EV型SEPPを何台か製作して、これで音質的満足感は十分でしたが、半導体のA級バランス出力と同じ悩みが生じました。大きく重いのです。もちろん全てモノラルです。仮に3wayマルチアンプを試みると、巨大なシャーシが6台並びます。夏はエアコンが効かなくなりますし、だいたい今どき、このようなバブリーな事が許されるんでしょうか?

せめて、ステレオで組める規模で、パワーがとれて、音の良い真空管アンプを作りたいものです。そこで良いヒントがラジオ技術誌から得られました。温故知新的な発想ではありますが、氏家高明氏が、ウイリアムソン式の高域時定数配置を変更して、真空管にしては高帰還な約20dBのNFBを掛けたパワーアンプを次々と発表されました。

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EL-34pp

高域の第一ポールを出力トランスにもって来るアイデアはずいぶん前にMJ誌で黒川氏が提唱しておられ、知ってはいましたが、トランスの高域低下特性の傾斜を-6dB/octを理想として特注し、他の位相補正は無しで20dBものNFBをかける事は、良い音の予感に満ちています。

更に、PP出力段は抵抗一本の自己バイアスでパスコン無しなので、基本的には差動出力段であり、前回述べた音質的特徴が見込まれます。ただ、定電流回路等でカソードを拘束しているわけではありませんので、「ゆるい」差動になると思われます。これは私にとって、音が良い方向に変化する気がします。

何より、位相反転段が、PK分割なので、半導体でも味わうあの二段差動の音質傾向がなくなり、これも私にとって望ましい変化となります。

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6550pp

ただ、出力トランスに指定のものを使わねばなりません、ISO(タンゴ)社製のそれは以前から出ているタイプの小変更らしく、特性諸元を見てもあまり変わりがないのです。タンゴ FXシリーズは何組か手持ちがありましたので、これで試してみる事にしました。

製作の手間は普通のPPアンプと変わらず、ステレオ構成しても鈴蘭堂 SL-9 でまとめる事ができ、普通の大きさです。前段は12AU7を使いEL-34で試してみる事にしました。なんと、簡単に位相補正なしで20dBのNFがかかりました。後で矩形波特性を見ながら帰還抵抗に若干の進相補正をしましたが、それなしで、各種コンデンサーを抱かせても、SPを実装しても問題ありません。

音質は、とても素直なものでした。SPの持つ良い所や癖を私がいろいろ試して最大公約数的に感じている音がそのまま出てきます。当たり前のようで、実際には難しい事をさらりとされてしまいました。これは便利な特徴で、このアンプをつないで、SP等について感じた事はいろいろ試した上での結論と同じです。

音のくまどりの強さは標準、その描く太さは細め、高低域聴感的な強調感無しです。ただ、固有の惚れ込むような魅力には欠けます。NFBを減らして聴くと、精密感はそのままで、浮遊感のある感じの高域が乗りもっと好みです。ただ、高忠実度は下がっているでしょう。とにかくこのアンプは使えます。

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EL-12pp

最小の工夫で大きな効果があり、こんなエレガントな事はありません。氏家氏のこの道に精通した達人ぶりに尊敬の念を禁じ得ません。もちろん、氏には6C33C SEPPのバランス出力を頂点とする超弩級の作品群があり、真空管アンプの世界では最も私の手本になる方です。お会いした事は残念ながらありませんが。

その後、6550,EL-12,6F6,6RA6,5998,2E22で同形式のアンプを立て続けに製作しました。わが家のシステム内に組込んで他のアンプと比較しても十分高音質を維持でき、システム全体がコンパクトにまとまるので、とても重宝しています。
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2E22pp mono
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by elise-4550 | 2009-05-26 00:54 | オーディオ | Comments(2)
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音質に関して真空管と半導体が違う原因の一つは、私の仮説によりますと、各種の、局間容量と接合容量の違いではないかと思っています。それも、その絶対値ではなく、Tr(FETも含む)のPNジャンクションによる接合容量はそれを関数で近似(されてますが)するのもためらわれる非直線性を持つのに対して、真空管のそれは誘電体の理想とされる空気コンデンサーより更に理想に近い真空コンデンサーです。電極板の振動以外に不確定なものはありません。

その所為かどうかは判りませんが、真空管の音は、独特の着色はあるものの色彩感が豊かで音楽が華やかになります。これは音が派手という意味ではありません,本来の音だと思っています。いや、派手なときもあります。ベテランのオーディオ好き程球にこだわる理由はここにあると想像しています。真空管アンプを使う人の何割かは判りませんが、決して懐古趣味、骨董趣味、信仰心、ムード重視等の理由で、真空管による音楽再生をしているわけではないのです。

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たとえば、オーディオリサーチのプリアンプなどは「こりゃあ脚色だろう」というような華やかさですが、音楽のある面を確実に表現できていて、「これでいいや」と思わせる説得力があります。音色の豊かさは音楽を聴いていて幸せな気分にさせてくれます。

先日まで、私的半導体パワーアンプの回顧を都合の良いとこだけ続けてきましたが、話を再び真空管パワーアンプに戻したいと思っています。

シングルアンプで満足していれば良いものの、低能率SPへの対応力を期待して通常のPPを製作しましたが、出力トランスで逆相のpp信号を合成する事に音質的問題点を感じ、EV型SEPPにたどり着いた経緯は書きました。実際にはそこに行くまで、また、その後も、同じ特徴を持つ回路を試しています。

直熱ツイングリッド三極管(四極管?)の46を用いた①並列電源型SEPPと②差動出力PPをほぼ同じタムラのトランスで作り比べたのが最初でした。音質は、おとなしく引っ込み思案の①と積極的に前へ前へ出てくる②という両極端な結果でした。何度聴いても、エージングしても、SPを変えても、誰が聴いても、同じ結果です。

よく聴いているうちにその違いが音の「くまどり」の強さだと気付きました。①が弱く、②はきわめて強いのです。通常のPPは低域が強く高域が弱く均一ではないので、音像定位を中心とする音楽の表現に少しだらしなさを感じてしまいます。

どうしても当時の写真が見つかりませんが、それぞれ鈴蘭堂のSL-15にステレオで組んだかなり大掛かりな試作でした。

その後、②は4033、EL-12、2A3W、WE-275Aで製作しました。それぞれ、個性は違うものの音像をメリハリ付けて前に出してくる性格は同じでした。

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2A3W 差動PP

4033とEL-12は二段差動で反転信号を作り、2A3Wは入力段の前でエクセル(サウンドパーツで購入)の単巻きコイルで正相と逆相を得ています。WE-275Aは、PK分割とインターステージトランスを併用しています。出力段のカソードはMOS-FETを用いた定電流回路でカソードを拘束しました。

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WE-275A 差動PP

正直言って、①は消極的すぎ、②はきつすぎます。②はオーディオ的に分かりやすい音で、特に各種楽器の分離が良いので多くの人に好感を持たれると思います。むしろ私の望む所が、ちょっと変わっている気もしています。

そして、以前お話しました直列給電型SEPPとEV型SEPPで、私の音質的欲求は満たされたわけです。特にEV型は自分的には究極と感じる音質で、これをもっと広めたい気持ちまで生まれるほどであります。実際は何もしていませんが・・・

ただ、真空管アンプにはSPを駆動するために出力トランスが必要です、ご存知の通り、これが癖物で、最も音に影響が出にくい回路でも、出力管以上に多彩な音を創ってしまいます。この点が真空管アンプについて回りますので、半導体のアンプと比べて一長一短という事になります。

例のあれを除いて・・・
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by elise-4550 | 2009-05-24 00:36 | オーディオ | Comments(0)
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前回、前々回紹介した回路のアンプを次々に製作しました。A級バランス出力アンプの1/3程度の作業で出来てしまうのです。消費電力も小さく、この音質ならば当研究所の中心として採用したいと思いました。

まるで、第二次大戦後の米陸軍戦闘機 P-47とP-51の関係でした。A級バランス出力アンプは音質的には最高ですが、どうにも巨大で重くブレーカー飛ばしなので、敬遠してしまいます。アンプに対する私自身の音質の要求はこの程度の事かもしれません。

今度は2wayマルチアンプシステム、または3wayの中高域用に、電源分離型の5シャーシ4chアンプを製作しました。出力段にMOS-FETを使い、日立のK398とJ113を採用しました。同じ日立のK134,J49と比べて、gmが約二倍で、Vgs特性も使いやすそうです。

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ドライバー段を省略して初段に直接MOS-FETを駆動させました。二段アンプとしては
よりシンプルな形です。MOS-FETの大きな入力容量を利用して位相補正を行う作戦です。予定通り、全く位相補正コンデンサーなしで、NFBが安定にかかりました。初段の負荷抵抗はやはり7.5kohmです。



音の勢いは今まで以上です、これは、信号経路がよりシンプルな所為かもしれません。音色は若干クリーミーで、前回のアンプよりも解像度は落ちます。MOSの所為なのか、位相補正を入力容量で行った所為か、その両方かでしょう。もちろん、合格点は余裕でクリアーしていますので、後はSPとの相性次第です。








次に低域駆動力の強化に取り組みました。出力段Trの4パラppを試みたのです。ドライブ段は中損失のMOS-FET(K214,J77) を用いました。 Id 15mA以上で温度係数が負になる事を利用し、出力Trと同一放熱器に取り付ける事による Icの温度補正を行うためです。

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これは最初のアンプをグレードアップしたような音になりました。つまり、ドライブ段のMOSの音より、出力段のバイポーラTrの音が支配的であるという事になります。4パラレルの得失は接続するSPで評価が変わると思われます。予定している「現代的」SPたちは能率がきわめて低く、インピーダンスが4ohm以下であることも多いので、シングルppと比べると音質的メリットが感じられます。

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部屋を揺るがす低音が20L程度の小さな箱から出るわけですが、その時の音程の安定感が違います。その違いに気付いてからは通常の音量でも違いを感じる事が出来るようになりました。耳の学習効果ってヤツですか・・先入観かも・・・

もちろん、高能率のSPではシングルppの方が高音質となると予想されます。

いろいろ試してみて、私にとってはバイポーラの3段ダーリントンかFETドライブバイポーラTr出力が標準という事に落ち着き、更にSPの比較試聴に便利なように、3段ダーリントンのステレオアンプを二台製作しました。
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by elise-4550 | 2009-05-22 00:52 | オーディオ | Comments(6)
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藤井氏の発案による「逆立ち式出力ソース接地 MOS-FET 単段アンプ」は使える事が判りました。スムーズな音質は「おだやか、しなやか」方向に適応性を持っています。一方、「するどい、はげしい」系の音はあまり得意ではないようです。

これはその時用いたMOS-FETの音質そのままです。K134,J49を何十個も使ってきたので判ってるのでした。そこで、バイポーラトランジスタの3段ダーリントンで製作しました。すると、いつものなじんだ音が出てきました。良い悪いではなく、世代的にこの音がすり込まれているんですよね。

大分強めの音になってきましたが、それでも穏やか系でした。どうやら、この回路形式は素材の音がもろだしで、全体としてはマイルドな音質で仕上げる性質がありそうです。そりゃ、素子のVbe(Vgs)特性がそのまま音になっているわけですから。

音的には面白いものの、音楽を再生するには個性的すぎるようです。また、音の切れ味は不満です。そこで、前段を設定してゲインを稼ぎ、NFBをかけて自分の思う音質に仕上げる事を考えました。

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初段は検討の上、FETゼロバイアスコンプリ対称回路と横型カスコードを組み合わせて出力段につなぐ事にしました。この回路の音質を大きく決めるのは、回路の上下にある定電流回路です。基準電圧の設定と、そのノイズ管理に音質的ノウハウがあります。もっともこんな所で音質ががらがら変わってもらうのは困るのですが、事実は事実でしょうがありません。

初段の負荷抵抗と位相補正は二番目の肝です。これはその後の試聴によるカットアンドトライで、最終的には7,5Kohmと680pFで落ち着きました。出力段はバイポーラトランジスタの3段ダーリントンです。

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製作し、基本的な特性を測定後、早速試聴を行いました。結果は上々でした。音の切れ味は十分で、あまり気になる欠点がありません。やはりNFBは掛けたほうが良いようです。何より二段増幅で「測定派」の方にも文句のないレベルで、SPの駆動力にすぐれ、高音質が確保出来たのは気分の良い事です。

早速、「現代型」SPたちのドライブに活躍を始めました。高解像度で、軽快な音から重厚な音まで守備範囲の広い音質はこれらのSPにぴったりで、やっと、アンバランス接続の標準回路が見つかった実感がありました。

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つぎに、同じ回路で、出力段のチョーク入力電源を試してみました。それは前回体験を書いた電源の高周波分離策の効果があったためです。チョーク電源で整流ダイオードのスイッチングをなくす事により、ノイズ源の一つをなくそうという事です。これは半分の成功でした。平滑コンデンサーのコイル分離なしでだいたい使える音になりましたが、コイルで分離してみると、やはりコイルなしには戻れません。

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そしてこの二作目はこの回路形式最上の音となりました。モノラルで製作した事も効いています。現在はアポジー DIVAの中高音の駆動に使っています。
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by elise-4550 | 2009-05-20 00:32 | オーディオ | Comments(0)
前回まで自作半導体バランス出力アンプの一連の流れを追ってきました。このラインは今でも続いているわけですが、当研究所のSPシステムが増殖してゆくに従い、それぞれのシステムにこの重くて大きいアンプを設置するわけにはゆかなくなります。

マルチアンプだと更に多くのパワーアンプを必要とし、電源容量と発熱の関係で苦しくなります。半導体アンプで何とかもっとコンパクトに高音質を実現したいものです。

いくつかの試作を試みましたが、どうもうまくゆかず、自作の小規模なアンプは、癖は強いもののその組み合わせによっては魅力となりうる真空管シングルアンプか、努力によりコンパクトなステレオ構成にまとめた真空管直列型SEPPが中心となってゆきました。個性的な音がするのも手伝って製作は面白く、けっこうな数を作りました。

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45 single stereo

例えば、オンケン型マルチダクトシステムの中高音は試聴の結果VT-25パラレルシングルと300Bシングルでここ数年は落ち着いています。現在、ガレージ4550ダブルの中高音はVT-25直列SEPPと3A/109Bパラレルシングルで試しています。

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3A/109B para single stereo
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VT-25 SEPP stereo

ただ、スキャンスピークを始めとする現代風のSP群が増えてきますと、先入観も手伝うのか、シングルでは上手く鳴らせません、最大出力25Wの211でもです。小型の直列型SEPPも小出力のためうまくゆきません。SPがビンテージ系と比べて半端じゃなく低能率なんです。また、大出力の真空管PPも使ってみましたが、半導体アンプの方が音楽の抑揚や音場の広がり等ずいぶん優れています。

もちろん DIVAにはインピーダンスマッチングを考えただけで、球をつなぐ気にもなりません。

私の製作能力が至らないのでしょうが、逆に考えると半導体アンプがそれだけいけているという事で、痛しかゆしです。

唯一の例外はEV型SEPPたちです、これらは半導体アンプとは違ったゾリッとした切れ味を持ち、音場感はモノラル構成も手伝って広大です。ただ、A級バランス出力アンプに負けないくらい大きく重く発熱します。それでは所期の目的を忘れてしまっています。現在、オンケン型マルチダクトシステムの低音は先に紹介した 6B4G EV型SEPPです。

やはり、半導体でコンパクトに高音質を実現しなければなりません。

パワーアンプ回路上の最大音質劣化要因は明らかに出力段です。それに比べれば、電圧増幅段は回路が違っても、自分の感覚では好みの範囲です。だから、A級バランス出力より欠点の少ない構成は至難の業なのです。

ところが、そのうちに可能性のある回路がやってきました。ラ技1995 10月号に載った藤井秀夫氏の「逆立ち式出力ソース接地 MOS-FET 単段アンプ」です。

それまで、主に真空管アンプのフィールドで独創的な活躍をしてきた藤井氏は、自らの発想の赴くままに半導体アンプにも発表の場を広げていました。私は化学が専門なので、彼と全盛期のライナス ポーリングがダブって見えました。褒めすぎでしょうか?

この回路も理論上出力段電源の各種非直線性を減少させる事になり、高音質のためにアイドル電流を多く流す必要はないかもしれません。アンバランス出力なので、出力段の素子数も減少します。もし、NFBをかけるとしても、ソース接地なので、前段は対接地基準の信号で高音質が可能です。何より実質二段増幅なのは魅力です。

使えそうです。

ところが、彼の製作記事の追試を行った所、ひどく粗雑な音質でした。しかし。本質的に優れた回路をこの程度で諦めきれるものではありません。初のフルタイム4WD Audi QUATTORO も初期のWRCでは熟成された2WDたちに勝てない事も多かったではありませんか。4WDがWRCを牛耳るのにあまり時間はかかりませんでしたが。

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電源がフローティングしている事に原因の一つを求めました。ここのストレイキャパシティで、ダイオードのSWノイズや各種電磁波が電源にのる事により、Trに悪影響があるのではないかと思いました。そこで、平滑コンデンサーを±共に二分割してその間に100μHのパワーコイルをかませました。

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結果は劇的でした、同席していた研究員Tとともに顔を見合わせて笑ってしまいました。
これは分かりやすい改善です。一気にシルキーな高音質に変化しました。「霧が晴れたよう」「ベールをはいだ」という使い古された常套句が頭に浮かびます。

ついでにアースも同様にコイルで高周波を分離してさらに良くなりました。このテクニックは球のアンプを作り始める前なら、到底思い浮かばなかったでしょう。真空管の電源回路には普通にチョークコイルが入っています。以前は半導体アンプの電源にコイルを入れるなんてご法度でした。今でもそう感じている方もおられるかもしれません。

とにかく、これは使えると確信できました。
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by elise-4550 | 2009-05-18 00:22 | オーディオ | Comments(2)

当面の音質飽和点

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前回に説明したアンプで私の製作するアンプは一応の完成を見ました。後は各部のブラッシュアップでこれからしばらくこれでゆくと思われました。

その後、アイデアが思い浮かぶたびにアンプ製作は続きますが、どのアンプも更なる音質向上はなく、先のアンプを超える音は出ません。コンパクトに作る事のできるアンバランス出力は、それぞれちょっとした個性の違いで、好みやSPと相性のレベルです。皆、使えるいい音ですが、代わり映えはしなくなりました。

また、半導体関係の生産中止や入手難が情け容赦なくやってきます。

そこで寄り道を始め真空管に手を出した事は先日お伝えした通りです。お伝えしていない真空管OTLアンプ関係は、いずれ順を追って別に説明させていただきたいと思います。

ただ、いくら真空管アンプを作り、その音に一喜一憂し、それらが音質向上したといえども半導体A級バランス出力アンプの方が負けていると感じた事はありませんでした。前にも書きましたが、別の山の頂に立って異なる絶景が広がっているのと同じ事です。

そこで、半導体バランス出力で次のアンプを計画しました。

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まず検討したのは終段の定電圧電源です。これは私にとっては出力段を一定電圧に保つという目的より、ACライン、電源トランス、整流回路、等の影響を分離したいと考えての採用です。それはA級バランス出力では理論上いらないはずです。

更に、前回紹介したアンプは出力段をインバーテッドダ−リントンにしていました。これは、コレクタ接地(エミッターフォロアー)を避けての事です。コレクタ接地は入出力の基準がコレクタにあるため、一部の方々が主張されるように前段の出力がアース基準信号の時に相性が悪く、出力段電源が信号経路に直列に入り、その影響をもろに受けます。

そのため、電源回路に敏感なアンプとなり、信号増幅回路以上の「音質」を持つ定電圧電源が必要になり、それはむちゃな注文です。したがって音質上の問題点となるはずです。

というのは机上の理論で、実際に音は聴いてみなければ判りません。何より、その低インピーダンス出力特性は魅力です。また、今回の形式では電源は信号増幅回路と等しい「音質」を持っている事になり、出力段にコレクタ接地を用いた前々回の高音質にはこの効果も手伝っているはずです。

そこで、今回は出力段をコレクタ(ソース)接地でゆきます。そこで当時話題になっていた大電流を流す事が出来るMOS FETがコンプリで発売されたので、それの音質を試してみたいと思いました。これは元々産業モーター駆動用とききます。

このブログは自分以外の方も読んでいただく事を前提としていますが、自分の日記と同じように自分を省みる効果もあります。このように以前の経路をたどってみて思うのは、この頃の自分は製作物に新しい事を試しすぎです。

これでは音の変化がどの原因なのか判りにくいではありませんか。確かに製作には多大の時間、努力、予算を必要とします。一度にいろいろ試してみたいと思うのはやまやまですが、焦ってはいけません。なんてことは後から思うんですよね。

この試みは、偶然とはいえ音質的にうまい具合にゆきました。前作より低域にバランスが乗った音質は使えそうです。出力は8ohm時に120Wでした。この手のFETは安定して入手できそうで、割合安価なので、これで、次々に生産停止になっているパワー素子の心配をしなくてもよいかもしれません。

また、この系統のFETが持っている弱点の一つであるVdsの最大電圧不足もバランス出力では問題にはなりません。理論上、アンバランス出力の4倍のパワーとなるからです。

このアンプは現在、アポジー Diva の低域駆動用に用いています。あの低能率で低インピーダンスのSPを余裕で駆動し、超低域で部屋を飽和させます。

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もう、当研究所の音はA級バランス出力アンプクオリティに統一されてどのアンプも若干の違いはあれ十分高水準で、どれが良くてどれがダメという事はなくなってきました。
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by elise-4550 | 2009-05-16 01:12 | オーディオ | Comments(3)

ゼロバイアス

Nch接合型FETは通常Vgsを負の値で使用します。バイアス部のインピーダンスにもよりますが、使う領域は、せいぜいゼロバイアスまでで、そこが動作上の最大電流となります。

実際には正電圧までゲート電流の流れない領域が有り、それは0.4Vとも0.5Vとも言われています、品番によって程度に差があるのでしょうか。

1970年代後半、接合型FETの最大gmが季節ごとに更新された時代がありました。それを待つようにMCカートリッジ用ヘッドアンプが各社から発売されています。その高gmFETのアマチュア的な使用法にゼロバイアス動作点のヘッドアンプがあります。

MCカートリッジの出力はハイレベルのカッティングがしてあるLPでもせいぜいp~p200mVなので、FETのVgsを0V中心に振ってもその高入力インピーダンスは保たれ、増幅度は最大、歪みとノイズは最低の動作点となります。更に、バイアス回路のノイズ発生や音質低下はないため利点の多い回路です。

シンプル イズ ベストの見本のようで、電源の設計とパーツの選択が勝負でした。場所が場所だけに音質の変化は大きく、アンプ全体を総替えしなければ判らなかった抵抗の音の違いが入力抵抗と負荷抵抗の2本で判断でき、便利でした。ただ当時はハンダ付けや線材の引き回し、振動対策等に無頓着で今では悔やまれます。

この使用法の欠点は、FETの Idss 選別後に設計の定数が決まる事以外に,入力容量Cgsと帰還容量Crssの問題が有ります。特にCgsはゼロバイアスでは最大の所で使う事になり、また、PN接合容量なのでその値が入力電圧で非直線的に変化してしまいます。カスコード接続でほぼ逃れる事の出来るCrssよりも大問題でしょう。

まあ、考えてばかりいないで実際に作ってみて定評の有るMC トランスやヘッドアンプと比較してみる事でしょう。ローコストに作る事もでき、アナログ使用頻度の高い方の自作入門にはお勧めです。配線やパーツの選別でうまくゆけば世界の名器を凌駕できます。

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話が思った方向に行かなくて困っています。私はずいぶん前から、このゼロバイアス動作をヘッドアンプ以外にも応用してきました。きっかけは1985 9月号のラ技に掲載された大谷暢道氏の試作記事「クロスゲート回路」です。この回路はゼロバイアス以外でも、もちろん動作しますが、アンプ入力段にこれほど最適なものは有りません。ゲイン、直線性、ドリフト特性、バランス・アンバランスに対する入出力の対応性、ノイズ特性等文句有りません。これをカスコード接続で用いる事により、プリからパワーまで、全てのアンプ初段に使えそうです。

大谷氏はこれを横型カスコードで用いて、無帰還一段で、ハイゲインのEQアンプに仕上げておられます。実に野心的な素晴らしい発想です。詳しい解析は当該記事をごらんください。

初段だけでなく、二段目もゼロバイアスを利用できる回路が有ります。これは、ラ技 の1983 12月号に掲載があります。あの黒田徹氏が発案された「トーテムポール型差動回路」です。これも特徴が多い回路で、大谷氏の発想と類似している所も有ります。詳しい解析は当該記事をごらんください。

巨匠 黒田氏についてはまた稿を改めて記さないと、自作オーディオを営むものとしては失礼にあたりましょう。特に、1980年代における独創、新発想の高性能アンプ群は今でも光彩を放っています。その後、ラ技の息の長い連載により、自作派を底辺から掘り起こし、ハイレベルまでに導く作業は他の追随を許しません。

さらに、このトーテムポール型回路はバランス入力が基本で、先の(時系列的には後ですが)クロスゲート回路との相性が良いのです。黒田氏は作品中でそのバランス入力のためにもう一段設定しておられますが、それが不要になります。

というわけで初段、二段目ともFETゼロバイアスという同じ設計思想の独創的な(私の独創ではありませんが)回路が手に入ったわけです。これを、先のバランスA級出力段と構成させればどうでしょうか・・・自作派の血が騒ぎます。

さらに、先ほど指摘しましたゼロバイアスによる入力容量の影響は、これまでバランス出力に試してうまくいっている出力を片側ずつ反転増幅にする事でFETのゲートは仮想的に0Vとなるため、理論上はノンリニアな変化が無視できるはずです。

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という事で、作ったのがこれです。電圧増幅段は前記の構成で2SK30ATM,2SJ103と2SK170、2SJ74の組み合わせをIdssを選別して用いています。出力段は2SK214,2SK134,2SJ77,2SJ49をインバーテットダーリントンで片側3組、計6 組装備しバランス出力段を構成しています。

電源は前段、出力段共にMOS FETによるppレギュレーターを通しています。この辺は今まで通り、やりすぎの凝りすぎです。まあ、音質コントロールの一環だと思ってください。
出力は80W,8ohmで20WまではA級です。

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さて音質は・・・音のくまどりがありません。これは初めての事でした。今までに接した音の中で最も気負いの無い音質でした。余計な付帯音がせず静かなのは今まで通りですが、このようにケタ違いに滑らかな音は聴いた事がありませんでした。今でもです。いわゆるオーディオ的な音とは異なり、普段に接している音たちに少し似ています。

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情報量とか解像力とか制動感などの言葉で比較するのはあまり意味がありません。あえて云えば、滑らかすぎる感じがするものの、これはむりくりな悩みにも思えます。SPとの組み合わせによってはむしろプラスにする事が出来ます。

若干の手直しの後、十分にエージングと試聴を行い、これでゆく事に決めました。
この後、同じ回路構成のRIAA EQ プリも製作しました。これは、パワーアンプ以上に前記の音質を発揮しています。

何だかやっとオリジナリティの高い満足なアンプができた気分でした。

ちなみにこのアンプは現在ガレージの4550ダブル駆動の低域に使っています。片チャンネル4本の416-8Aをシリーズ・パラレルに接続し、その中点をアースに落として、バランス出力のメリットを生かして用いています。

この後もこの回路は当研究所の標準回路として活躍する事になります。
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by elise-4550 | 2009-05-14 01:28 | オーディオ | Comments(3)

エース降臨

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パワーアンプにA級バランス出力という必殺技を手に入れたまでは良いのですが、問題は残っています。前回書いたように消費電力の問題ともう一つは電圧増幅段の問題です。薄々差動増幅が持つ音質傾向に気付いていたのです。そりゃあ、プリ、パワー合わせて20も30も作っては壊しをやっていれば気付きます。

決して差動増幅がダメとは思いません、ものは使いようです。しかし、少し暗めの音質は、何段も重ねると気になりますし、低音のくまどりは細いけどきつい感じです。高域はこれが弱まります。この傾向は共通ソース(エミッタ)抵抗を定電流回路にすると強調されます。

良い解決策がないまま電力消費の問題(ついでに質量も)を解決するため、第二作を製作しました。

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「消費電力なんて、出力段の電源電圧を下げればいいじゃないか」とお考えの方も多いとは思いますが、そうは簡単ではありません、出力Trにかかる電圧は各種接合容量のパラメータとなっており、高圧になるほど小さくその非直線性が素直になります。Trの音質的最良の電圧設定はかなり高いところにあります。

ハイパワーアンプの利点はここにもあります。東京ドームの様なリスニングルームでもない限り、そのようなパワーを使い切る家庭は存在しませんが、音質的にこの手のアンプを選んでいる方は多いと思います。

当時の私の実験ではVceが30Vは必要で、これはバランス出力8Ωで120~150W
を意味します。せいぜい譲歩して25Vでしょう。そこで、アイドル電流を下げて音質変化を見る事にしました。一作目を改造するには、出力段のppレギュレーターの放熱設定が微妙で、純A級で電流変動がない事を見越して設計したので、AB級の大電流変化ではシャント側のTrに逆バイアスがかかる恐れがあります。もちろん、そんな出力出しませんが、設計上では欠陥です。

よって、新作をおこしました。今度はなるべくコンパクトに軽く作ることもテーマとし、鈴蘭堂のSL-10に組むことにしました。

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電圧増幅回路はほぼ同様で、出力段のppレギュレーターも搭載しました。最大出力は約120Wですが、アイドリング電流は片側1.0Aで、8ohm負荷の時16WまでA級となる計算です。それ以上では電源電流は信号に合わせて変動するはずですが、そのような出力はあまり使う事はなく、音質に影響はないと見込んでの設計です。

受動パーツ類は前作同様のものを使い、出力段だけ2段ダーリントン構成、Trドライブで EBT Trを片側2パラppのバランス出力段としました。

音質の検討に入りました。一作目と異なる音質には違いありませんが、音の傾向は同類で、静かで音楽だけが鳴るという特徴は同じです。出力Tr等各種パーツの違いが出ていると思います。格調高い、きりっとした高級感は一作目が上ですが、こちらには自由闊達とでも言いたくなる鳴りの良さがあります。音のフレンドリーさは上です。こちらの方が多くのSPとの適合性はあると思いました。

このアンプは、長い間わが研究所ののエースを務めました。その後、仲よくなったオーディオ屋さんが持ち込んだいくつかの海外製高級アンプを返り討ちにする、といった自作オーディオ冥利も味あわせてくれました。低インピーダンスで有名なアポジー DIVAも高音質で駆動してくれました。

この後にもう一台、MOS FETドライブEBT2パラ+2パラのアンプも製作しました。

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その後、もっと高音質だと思えるアンプも製作しましたが、今でも決して魅力は衰えていません。ケミコンの交換を行い、現役で活躍しています。
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by elise-4550 | 2009-05-12 00:35 | オーディオ | Comments(0)