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私が所長Kです、趣味を中心に展開できればと思います。


by elise-4550
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SEPP その後

前回述べました高内部抵抗の真空管をSEPP出力段で用いる回路は、入手しやすいインピーダンスの出力トランスが使えるので、思いの外応用範囲が広い事に気付きました。

SEPP その後_f0201222_2563557.jpg

STC 3A/109B によるSEPPです。インタステージトランスはUTCのA-18出力トランスはマグネクエストのpp用6.6kΩを使いました。

SEPP その後_f0201222_38825.jpg







WE 101D によるSEPPです。インタステージトランスはUTCのA-18出力トランスはマグネクエストのpp用9kΩを使いました。







そして、今度はインターステージトランスの無い音を聴いてみたいと思いました。ところが、直列型SEPPや並列型SEPPは出力段の入力基準がそれぞれ異なるため、いわゆる「打ち消し」が必要です。それをトランスはスマートに解決してくれていたのです。

無粋な打ち消し回路を嫌い回路的なエレガントさを求めて、EV型SEPP(ブリッジ型)に到達しました。これぞ完全な対称回路です。ドライブ段に高出力電圧が必要な点と、出力段だけに二つの浮動電源が必要なことが欠点です。モノラル以外では重くて製作不能です。

SEPP その後_f0201222_3423588.jpg


STC 6B4G のEV型SEPPです。このサイズで最大出力はたった7Wのモノラルです。タムラのF-2011を出力トランスに用いています。インピーダンス3.5kΩの16Ω端子に8Ωをつないで半分の1.75kΩで用いています。ドライブ段は低内部抵抗でプレート最大電圧の高いBENDIX6900を使いました。パーツ配置を対称にして二台製作しました。

SEPP その後_f0201222_3525525.jpg


WE300B のEV型SEPPです。タムラのF-2020をやはり同じように1.75kΩで用いています。ドライブ段はGE6BX7を使っています。パーツ配置を対称にして二台製作しました。

自分的には211でEV型SEPPを製作するのが究極だと思っていて、パーツも集めていますが、その重量と大きさに怖じ気づいています。まあ、人生最後のアンプとして取っておいてもいいかなと思っています。じいさんでは、ハンダ付けのためにアンプを裏返す事も出来ないかもしれませんが・・・
# by elise-4550 | 2009-04-28 04:23 | オーディオ

VT-25までの道程

ずいぶん半導体だけでオーディオをやってきました。また、長い間大学に残っていたため貧乏オーディオが続いていました。いや、オーディオだけは身分不相応に贅沢していましたかな?

何せ、奨学金は全てSPのローンに回していましたから・・・日本育英会様すみませんでした。7.5畳の洋室に400Lの自作箱を二台押し込み1.5mの至近距離で聴いていました。そこはベッドの上です。

「MJ」や「ラ技」に掲載されている真空管の製作記事は当時の私は飛ばして読んでいました。半導体アンプをやっている人にありがちな事ですが、パーツの銘柄を吟味し、自分の選んだもの以外は「音楽が鳴らない」という理由で排除し、抵抗や線材の方向性まで追求する次第です。

そして、自分の作るアンプはもうどれも判別できるほどの差はない事は判っていました。
だんだん自分ががんじがらめになってゆきます。薄々、自分が今信じている世界は気のせいで、もう一度ブラインドで検証すれば崩れてしまう部分が多い事にも気付いていました。

仕事を持ってもオーディオ熱はさめなかったので、いろいろな機材に接する回数は多くなりましたが、当時の私の機材評価は「絶品」か「ゴミ」で、だいたいは後者なのでオーディオ屋のおやじから見たら困った客だったと思います。はっきりものを言うため気に入られて友達付き合いになった事もありましたが。

そんなときについ魔が差してEL-34のppアンプを作ってしまいました。偶然TELEFUNKENのEL-34を20本手に入れたせいです。半導体出身者らしく、二段構成の直結アンプでした。出力段電源までレギュレーターで安定化していたのは云うまでもありません。

その音を聞いて何だか判らなくなりました。それまでのアンプの音とは全く違い、比較のしようがありません。じゃあ「ゴミ」かと言うととんでもありません、いい音なのです。自分がやっていた狭いオーディオを思い知らされました。音楽を聴く上で音はいろいろあって、山脈のようにいくつも良い音のピークが存在するという当たり前の事が愚鈍な私にもやっと判ったようでした。

おかげで現在我が研究所は、既に紹介した通り、置き場所が許す限りさまざまなSPが入っていて、「いったいこの人はどんな音を好んでいるのか?」という感じになっています。それぞれが別の良い音のピークを目指すための道具です。こうなったらオーディオのワンダーランドを造るしかないのかもしれませんが、経済的な限界が私を止めてくれています。

VT-25までの道程_f0201222_2454895.jpg


話が長くなりましたが、真空管に感染した第一段階はTV-25に明け暮れました。その姿態、トリタンフィラメントの輝き、中高域の独特な音質が私を魅了しました。現在でもオンケン型マルチダクトシステムとガレージの4550ダブルシステムの中音ホーンはそれぞれVT-25で駆動しています。

上記のアンプはオンケン型マルチダクトシステムに使っているモノラルのパラシングル(ps)です。これは、旧タンゴトランスが元気だった頃、プッシユプル(pp)との比較のため電源トランス特注で製作したものです。

VT-25までの道程_f0201222_302779.jpg


これがその戦いに敗れたppの片割れです。勝敗は明らかでした。ほぼ同じパーツと同じ技術者が自信を持って送り出したであろう同クラスの出力トランスなので、これは出力回路の違いと思います。

ただし、ppは直熱管でも交流点火で残留雑音1mV以下に出来ます。psは直流点火で7.5Vものカソード電位勾配がある事になり気持ち悪いので、ppのフィラメントハム打ち消しは利用したいものです。

VT-25までの道程_f0201222_312494.jpg


そこで考えたのがSEPP回路です。つまり、ppの音質劣化は出力トランスの電磁誘導でpp合成をする事にあるのではないかと言う事です。ならば、直列型SEPP出力段回路でpp合成をしてしまえばトランスはSPへのインピーダンス変換のみでよくなり、高音質が期待できます。もちろんハム打ち消しは交流点火で大丈夫のはずです。今度はステレオで製作しました。

この回路形式では出力段は交流的に並列になるので、出力トランスのインピーダンスが通常のppの時の1/4でよく、内部インピーダンスの高いVT-25でも市販品に多い5kΩpp用が使えるため調達が大変楽です。ここではLuxのCZ型を使いました。

SEPPで問題となる出力段のドライブはインターステージトランスとし、いわゆる「打ち消し」問題に対応しています。もちろんここでも信号のpp合成はしていません。

結果は望外の成功で、SEPPの所為かインターステージトランスの所為かは判りませんが、psにはなかった音質の「ねばり、こく」といった感じも出てきて、傑作となりました。この形式のものを現在、VT-25で3台、WE-101Dで1台、STC-3A/109Bで3台製作し、 いずれも好結果を出しています。
# by elise-4550 | 2009-04-26 04:00 | オーディオ

現在のハンダ付け状況

小学生のころ、私の周りでは既に真空管は姿を消していました。
理系少年だった私にとって初めてのハンダ付けはバイポーラトランジスタ( Tr )だったのは当然の事です。6石ラジオを製作して音が出たときの感動は覚えています。

小学生では「初歩のラジオ」「ラジオの製作」だった愛読誌が中学では「CQ」「無線と実験」「ラジオ技術」「トランジスタ技術」に変わってゆきました。

中学の同級生に当時の私の知識技術のはるか先をゆく友人がいた事もあって、「岩石化石採集」「天文観測」「昆虫標本」「熱帯魚のブリーディング」「化学実験」等数多い理系の趣味の中でも「はんだ付け」が大きな比重を占めるようになりました。

彼は「ビートルズ」を私にもたらした人物でもあります。それまでに聴いていたひいきのシンガーが「あのねのね」だっただけにそのショックは計り知れないものがありました。

 
現在のハンダ付け状況_f0201222_15105072.jpg


上記の絵は現在製作中のパワーアンプ基板です。

この形式のアンプも今回で8組目となり、いろいろなパーツや規模で試してみて、だいたいのポテンシャルは判ってきた感じです。当研究所のアンバランス出力Trアンプとしてリファレンスとなりました。

ただ、欠点として,今までのP型N型の対称回路+横型カスコードではDCドリフトが大きく、電圧ゲイン26dBで100mV位になります。よって、アルニコ系のSPにはご遠慮願っている状況です。これを改善するために、最近真空管OTLアンプで採用し成功を収めた方法を試してみるつもりです。 

回路設計は全て特許をとる様なオリジナルで構成ができれば格好よいのですが、たかがアナログかけ算アンプなので、そんなことはあり得ません。尊敬すべき諸先輩方により私が出せる程度のアイデアは研究し尽くされています。

私に出来る事はそれらの現時点における再評価と。異なる出自のアイデアや思想を組み合わせて音楽再生における新しい価値を見いだす事です。その点においてはパイオニアワークたり得るかもしれません。

今回の回路構成はFET入力差動横型カスケードと「ラ技」故藤井氏によるエミッター接地単段増幅電源フローティング回路を組み合わせた実質二段アンプです。

初段の差動横型カスケードは約30年前に製品としては STAXやLUXで採用され、ほぼ同時期に「トラ技」でどなたかの解説記事が載りました。その後、アマチュアの作品等で重用されています。元ネタは「ハリス?」社のオペアンプと思います。

主な採用動機は皆同じで、差動二段+コレクタ接地(エミッターフォロアー)の回路構成が主流だった当時で、①一段で差動二段と同じくらいのゲインが得られる ②カレントミラーの能動負荷にすると、そこから割合自由に負荷抵抗の値を選び対接地間に結ぶ事が出来る 等のメリットがあります。

電源のノイズや変動に強い対アース増幅という考え方はその後のアンプ回路設計の大きな流れとなっています。が、もう一つの利点である高域時定数の減少はあまり話題になっていないかもしれません。

出力段はここも電圧ゲインを持つエミッター接地で、電源をフローティングしてその中点から出力を取るアイデアは藤井秀夫氏の製作記事で初めて知りました。彼についてはまた別の機会に評価したいと思いますが、そのあふれ出る独創のアイデアには毎月感動させられていました。時々トンデモな文章が入る以外は、やり尽くされた感もあるこの分野にもまだ未踏の地があるのだと感じさせてくれました。その才能が今は失われてしまい残念でなりません。

この回路により理論上は大型ケミコン、ダイオード、電源トランス等の非直線性が出力に影響しないはずです。出力に電源周りのストレイキャパシティの影響が出やすい欠点はあるものの、実質二段構成でSP駆動に十分なアンプとなる点と共に大きなメリットです。
 
現在のハンダ付け状況_f0201222_15175017.jpg

# by elise-4550 | 2009-04-24 00:07 | オーディオ

忘れててごめん

前回で一応わが家のSP紹介を終わり、今度はアンプでもいこうかと考えていたところ、まだちょっと忘れていました。
忘れててごめん_f0201222_1302974.jpg
これです。私にとって2代目のクゥオーターチューブ方式です。

この方式の特徴はユニットのパラメーターとエンクロジャーの設計が無関係な事で、広範囲のユニットに同じ箱で対応できます。閉端側を面積ゼロつまり三角形のとんがり状態にするとユニットは開放端との中点に置きます。

ところが、一般的な折り返し一回の構造では中点は天板付近になり、上に向けて音を出す事になります。

これでは都合が悪いので、3回目の試みとなる同一ユニットの同相駆動による振動キャンセル構造で、仮想的に中点を駆動する事で対応しようと思いました。

当然裏側にも同じユニットが付き、両面に音が出るので、SPの設置位置に関して工夫が必要です。写真はペアーの裏と表です。

ユニットは六本木工学研究所の「RIT CUSTOM CP-14」を用いて、TwはETONの「25 SD 1」にしています。

初めは低音が出すぎるので、開口部に吸音材を置いて調節していましたが、エージングが進んだためでしょうか、今は開口部の吸音材はなしでちょうどいけます。


中低域の厚みはありませんが、低域は予定通り十分伸びていて、高域も嫌みのないきれいな音なので非常に広帯域のシステムになりました。ただ、全体がうすあじでパステルカラーの音色はオーディオマニアにはもの足らないかもしれません。

裏と表のユニットはこのようにして結合しています。
忘れててごめん_f0201222_1574790.jpg


現在、二階でテレビ横においてその音声を担当しています。

これで、2~3のちいさなSPと段ボール箱に入れてとってあるユニットを除き、わが家のSPは紹介しました。また、必要があれば、細部の説明をいたしますが、これからはしばらくは使用中のアンプを中心に展開しようと思っています。
# by elise-4550 | 2009-04-22 02:19 | オーディオ
無人島に一組持ってゆくなら・・・_f0201222_031328.jpg

何だか心引かれるユニットってありませんか?
音質はともかく、機能やコンセプトが魅力的で欲しくなってしまう感じの・・
更に音質的にも優れていようものなら溺愛してしまいます。

私にとってAltec601シリ−ズがそれに当たるかもしれません。
12インチの軽くて張りのあるコーンの中心ににコンパクトなツイーターがセットされ2wayの同軸を構成しています。

兄貴分の604シリーズの陰に隠れて目立たないのも私好みだったりします。
実際、15インチの2way同軸はツイーターに大きなホーンが付けられないためウーハーの高域が弱点です。
その点、12インチは問題が小さく、特にAltecのノンコルゲーションコーンは私にとってむしろ望ましい中高域です。

ツイーターは単体にすると何だかしょぼい格好ですが、同軸に収まっている姿はドンピシャです。もちろん同軸に組み込む事が前提で開発されています。
評判がいいので単体売りをしたという感じだと思います。

何より、601は低域と高域のボイスコイル位置が同じなので、三次元的にどこから見ても点音源となるのは夢があります。もちろんそれだけでタイムアライメントがとれるわけではありませんが、Twとして最も理想的な配置である事は確かです。

そんなわけで、歴代のAからEまで全て揃えてしまいました。
故障しているものの修理も手がけて、この世に少しでも可動品を増やしたいなんて考えるようになりました。

無人島に一組持ってゆくなら・・・_f0201222_133158.jpg

601はフレームで3種、 コーンで2種、Tw振動板で2種、エッジで3種、フレーム塗装で4種、Tw塗装で2種の違いがあり、たとえば同じCタイプで4パターンはあるため、それぞれ揃えるのは大変です。

ただ、ちょっと冷静になって音のバリエーションで揃えるなら、程度がよければ2ペアー位でいいかという気がします。私ならばBとDにしますね。

写真は、現在使用中の601Bです。12インチ用のオンケン型マルチダクト箱に入れています。低域は12インチの常識を超えた量と質を誇ります。

ただ、いけないのはネットワークです。これもAからなぜかFと書かれたものまで見ましたが、いずれもお粗末なパーツで、経年変化のためコンデンサーの短絡やコイルの断線が多発しています。
また、オリジナルの設定はWoはスルーになっていて全帯域で鳴っています。ボイスコイルインダクタンスによる自然な減衰ってことでしょうか。それにTwをかぶせているんですが、わざわざコイルで昇圧した後にアッテネーターで減衰させていたりします。
まあプロの現場ではいろいろな状況があるとは思いますが、この601は私が聴く限り、WoとTwがアッテネーターなしでドンピシャの能率なんです。まさに名器ではないでしょうか。

よって、ネットワークは自作しています。Woも-6dB/octで切ったほうが自分の601に求める音質が得られました。

でも、音より何よりこの佇まいですよね、私にとっては、
これに匹敵するのはロータス エリート位のものです。持っていませんが・・・

PS   もう一つありました、ハッセルブラッドの903SWC「ビオゴン」です。
# by elise-4550 | 2009-04-20 02:02 | オーディオ