A-7(VOTT)に関して
2009年 04月 14日
初めはマクソニック E-456です。 これは親切にしていただいている足利市のベルサウンドさんから購入しました。
米松製の丁寧な作りで、本家よりかなり良い出来でした。ダクトは板厚のみで幅2cm位のスリットが約40cmで二本でした。 板厚のみのダクト?横65.95cm縦20.64cmとなっている本家828Bとはずいぶん面積が異なりました。
音質は少々箱鳴りが大きすぎましたがまあまあ良好で、いくつかの場所で聴いたA-7,A-5よりも締まって本格的な低音が聴けました。
二代目はオークションで入手した「コーア」製の箱でした。「コーア」というメーカーは全く知りません。
オリジナルの下部を縮めて容積を減らした感じの物でした。ホーン部分はほとんど同じ寸法でした。
ダクトはオリジナルと同じく板厚のみで大きく開いていました。
この箱は遠慮せずに自分の思った改変を行う事にしました。まず、ほとんど全ての面に補強をいれて箱鳴りが目立たないようにし、ダクト部分は面積約200cm²で長さが28cmにしました。反共振周波数は31Hz程度になりました。この手の箱に奥行きを持ったダクトを装着した例は少ないようです。
これははっきり言って大成功でした。きっちり締まって歪み感の小さい低音は私の好みです。150Hz位から始まるホーンロード効果との能率差はあるものの、その質が良ければ後はアンプ側で低域ブーストを調節する事によりバランスをとる事が出来ます。この辺はアンプ製作者の強みです。一般にはグライコ等でも可能でしょう。聴いた人は皆それまでに経験したオリジナルVOTTと比べて音質的優位性を聞き取っていただいていました。
さて、三代目のVOTT型の箱はビクター製のユニットが入っていた映画館払い下げのものでした、製造はビクターなのかどこかは判りません。21mmラワン合板を中心にきれいに組んである年代物です。友人が中のユニットに興味があり、箱を私がもらう事になりました。
この箱もオリジナル同様板厚のみの大きなダクトが開いていました。映画館等ではボイスレンジ中心になるべく高能率でエリア全体に音声を届ける必要がありました。当時のアンプ出力や光学録音のレンジを考えれば当然です。その結果、低音を捨てて音飛びをよくして、箱鳴りや後面の音も音響出力のうちに入れてしまう工夫がされているわけです。全く正しい選択です。ところがこれを家庭でHiFi用に使うとなると話が違うのも当然です。オリジナルの設定をありがたがっていては大きな電蓄以外にはなれません。
まず箱鳴りを一定レベル以下に抑える必要があります。そして低音はせっかく大きな内容積を持っているのですから、それを生かして低域まで伸ばす設定に変更することが出来ます。416系ウーハーは先日紹介したオンケン型マルチダクト箱でその潜在能力が判っていますから、ダクト付きのバスレフでバランス点を探ります。
マルチダクト箱と同じ設定にしてもうまくいかないのは先ほど述べた150Hzからのホーン効果で、それ以下の低域とのバランスが悪くなるせいです。この辺で多くの先輩方は元の「前面開放型」とも言うべきオリジナルのダクトに戻り、「やはり、Altecの開発したVOTTはオリジナルに限る」伝説が生まれたのではないかと想像します。
現時点での私の解答としては、ダクト面積を小さくとり、その奥行きで反共振周波数を思い切って低く(28Hz位)にとります。つまり密閉型に近い動作にして( 本当の密閉型はダメでした。)ダラ下がりの低域にし、高能率のホーン効果部分に合わせて電気的にブーストしてやる事です。
この結果ブースト分だけ許容入力は減り、最大音圧が下がりますが家庭用にはまだ十分すぎます。その代わり反応の良いよく伸びた低音を高能率で得る事が出来ます。アルテックのノリの良い低音と深い低音が融合したなかなかのバランスだと思います。さらに、高域ホーンと振動板位置の合わせやすさは普通のバスレフにはないメリットですから、これを生かしてクロスオーバーやレベル設定を行う事が出来ます。
現在、JBL2441をMaxonic HS-401ホーンに取り付け、-6dB/octの530Hzクロス2wayで聴いています。ツイーターが欲しいときもありますが、このシンプルさや2wayの美学はAltecの精神を受け継いでいるつもりです。