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私が所長Kです、趣味を中心に展開できればと思います。


by elise-4550
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真空管プッシュプルアンプ

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音質に関して真空管と半導体が違う原因の一つは、私の仮説によりますと、各種の、局間容量と接合容量の違いではないかと思っています。それも、その絶対値ではなく、Tr(FETも含む)のPNジャンクションによる接合容量はそれを関数で近似(されてますが)するのもためらわれる非直線性を持つのに対して、真空管のそれは誘電体の理想とされる空気コンデンサーより更に理想に近い真空コンデンサーです。電極板の振動以外に不確定なものはありません。

その所為かどうかは判りませんが、真空管の音は、独特の着色はあるものの色彩感が豊かで音楽が華やかになります。これは音が派手という意味ではありません,本来の音だと思っています。いや、派手なときもあります。ベテランのオーディオ好き程球にこだわる理由はここにあると想像しています。真空管アンプを使う人の何割かは判りませんが、決して懐古趣味、骨董趣味、信仰心、ムード重視等の理由で、真空管による音楽再生をしているわけではないのです。

真空管プッシュプルアンプ_f0201222_011430.jpg


たとえば、オーディオリサーチのプリアンプなどは「こりゃあ脚色だろう」というような華やかさですが、音楽のある面を確実に表現できていて、「これでいいや」と思わせる説得力があります。音色の豊かさは音楽を聴いていて幸せな気分にさせてくれます。

先日まで、私的半導体パワーアンプの回顧を都合の良いとこだけ続けてきましたが、話を再び真空管パワーアンプに戻したいと思っています。

シングルアンプで満足していれば良いものの、低能率SPへの対応力を期待して通常のPPを製作しましたが、出力トランスで逆相のpp信号を合成する事に音質的問題点を感じ、EV型SEPPにたどり着いた経緯は書きました。実際にはそこに行くまで、また、その後も、同じ特徴を持つ回路を試しています。

直熱ツイングリッド三極管(四極管?)の46を用いた①並列電源型SEPPと②差動出力PPをほぼ同じタムラのトランスで作り比べたのが最初でした。音質は、おとなしく引っ込み思案の①と積極的に前へ前へ出てくる②という両極端な結果でした。何度聴いても、エージングしても、SPを変えても、誰が聴いても、同じ結果です。

よく聴いているうちにその違いが音の「くまどり」の強さだと気付きました。①が弱く、②はきわめて強いのです。通常のPPは低域が強く高域が弱く均一ではないので、音像定位を中心とする音楽の表現に少しだらしなさを感じてしまいます。

どうしても当時の写真が見つかりませんが、それぞれ鈴蘭堂のSL-15にステレオで組んだかなり大掛かりな試作でした。

その後、②は4033、EL-12、2A3W、WE-275Aで製作しました。それぞれ、個性は違うものの音像をメリハリ付けて前に出してくる性格は同じでした。

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2A3W 差動PP

4033とEL-12は二段差動で反転信号を作り、2A3Wは入力段の前でエクセル(サウンドパーツで購入)の単巻きコイルで正相と逆相を得ています。WE-275Aは、PK分割とインターステージトランスを併用しています。出力段のカソードはMOS-FETを用いた定電流回路でカソードを拘束しました。

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WE-275A 差動PP

正直言って、①は消極的すぎ、②はきつすぎます。②はオーディオ的に分かりやすい音で、特に各種楽器の分離が良いので多くの人に好感を持たれると思います。むしろ私の望む所が、ちょっと変わっている気もしています。

そして、以前お話しました直列給電型SEPPとEV型SEPPで、私の音質的欲求は満たされたわけです。特にEV型は自分的には究極と感じる音質で、これをもっと広めたい気持ちまで生まれるほどであります。実際は何もしていませんが・・・

ただ、真空管アンプにはSPを駆動するために出力トランスが必要です、ご存知の通り、これが癖物で、最も音に影響が出にくい回路でも、出力管以上に多彩な音を創ってしまいます。この点が真空管アンプについて回りますので、半導体のアンプと比べて一長一短という事になります。

例のあれを除いて・・・
by elise-4550 | 2009-05-24 00:36 | オーディオ