出力段Trの音質比較
2010年 03月 07日
また、出力段にかかる電圧が異なります。電源トランスはどちらもメーカー棚卸しの様な未使用ですがいわゆるジャンク品です。Aは左右独立で前段用トランスは別になっています。プラスマイナスは別巻線で別々に整流後中点を設定しています。Bは左右に加えてプラスマイナス別電源4トランスですが前段用の巻き線も同じコアに巻かれています。結局それぞれトランスは4個ずつ装備している事になります。双方とも電流容量は十分以上にあります。整流平滑後の電圧はAが±35V,Bが±27Vとなっています。
平滑コンデンサーは分割してパワーコイルを挟み、整流回路とアンプ回路をなるべく分離しています。前段の構成や用いたパーツ類はほとんど同じです。出力段の回路も同じで、エミッター接地の電圧ゲインを持つものです。この点、多くのパワーアンプはコレクター接地(エミッターフォロワー)なので、出力段の違いを試すにはあまり一般的ではありませんが、今、自分がコレクター接地のパワーアンプを作るとは思えませんので、当研究所のスタンダードという事でお許しください。
出力段のTrはAが2N3055とMJ2955のTo-3タイプ(モトローラ)、Bが2SB897と2SD1210の樹脂モールド型(NEC)これはダーリントンTrです。
Aも二段ダ−リントンなので、そのドライバー段に2SA606と2SC959という金属缶型を用いて出力段との共通性を持たせました。
下がA、上がBです。試聴時は重ねて置いていません、横に並べて繋ぎ替えています。
かなり共通項が多く世の中のアンプとしては同じカテゴリーに入るので、音の違いは針小棒大に表現しています。どちらも十分当研究所として合格点でこれからもいろいろ活躍してもらう予定です。
という事で試聴の感想です、最も大きな違いはステレオ音像のたち方です。スピーカーを離れてより立体的に空間に定位するのはAです。それに比べてBはスピーカーにへばりついているというか、試聴室の床から音像がたちます。
音色的にはAは明るく溌剌としていますが、少し軽く感じます。それに比べてBは重厚でピラミッド的な音のバランスを持ちます。
試聴スピーカーがScanSpeakなので、Aはちょっと自分にはうるさすぎるように感じます、が、ScanSpeakなので、Aの音像定位や三次元的な情報量は魅力です。このような音場再現性にあまり興味を持たれない方やそのような性格ではないスピーカーを使っておられる方にはAは元気の良い情報量の多いアンプという事になるでしょう。
Bはある意味ほっとする音質を持っています。重厚な音や厚みのある音はこちらを好む方も多いでしょう。こちらも三次元的な情報は少ないわけではなく、Aが特別そのような性格を持っていると解釈してください。
直感ですが、Aのうるさく感じる音質をなだめるのはそれほど難しい事ではないように思います。一方BをAの様にするのは出力Trを替えないと無理ではないでしょうか。
という感じが現時点での感想です。あくまでも私見で中間報告です・・・