こまった こまった
2010年 04月 16日
そのクリスキットは割合良心的な価格でなんとマルチセルラーホーンのキットまでラインナップされていて、実に面白いと思っていました。アンプも「当時としては」良い方だと思います。今でも多くのファンが居られる事がそれを証明しているでしょう。
かれは密閉型SPが好きなので、そんなところも私は好感を持ってしまいます。
ただ、ご本人が、なんというか、多様な価値観世界観を認めないタイプの方で、雑誌や書籍等のメディアで自分の意に沿わない多くのオーディオ好きをからかったり怒ったりしてばかりいました。たいがいのオーディオ好きはうんざりしていたと思います。
時は移り、インターネット等で個人が自分のメディアチャンネルをもてるようになり、あちこちに「小桝谷」が出現します。
そしてまた、他人様のオーディオ攻撃です、まあ、「自分は最高だ、まねしろ」と言うことなんでしょうが、ご存知の通り、世の中はそう単純ではありません。「自分はUFOをみた、宇宙人は地球に来ている」とか「自分は神の声を聴いた、それを皆さんに伝える」などという発言と同じ構造となります。「経験したから真実だ」という論理に基づいているわけですね。
これがある意味正しくて、かつ間違っているという事は厳密には哲学の認識論や大脳生理学の議論になりますので面倒なだけでなく、私がえらそうに言える事ではありません。
つまり、音は空気の振動ではなく、それが聴覚器官を通して脳の神経細胞の電気的信号となって初めて我々は音を認識するわけです。脳の神経細胞の音認識メカニズムはまだ完全には解っていないと思いますが、そこだけではなく、その人のそれまでの音経験や生まれ持った部分、あるいは先入観やイデオロギーを形成する脳の別のところの影響で、個々人が音に対して異なったファンクションを持っていて当然です。
好きなタイプの女性だって(男性だって)人によりさまざまな好みがあるでしょ、他の国にゆくと到底信じられない人が「ミス××」になっていたりしますよね。
オーディオは一人でやっていると限りなく暗い遊びなので、仲間をつくり「これはいい」とか「これはゴミだ」とかやる事は愉しい事です。そして、その仲間内では共通の音に対する認識や価値観が生まれたりもします。それはそれで面白いと思っています。
だだ、この集団とは発生の異なるグループでは全く異なる音質や価値観が存在する事を理解し、お互い人間なので、尊重しなければなりません。いかに、個人の小さなメディアであってもこれは守らねばならないでしょう。
更に自分が気分悪いのは、まだこの世界の見当がついていない初心者の方を巻き込む事と、営利を目的として他のオーディオをけなす事です。昔から延々と続くこの低次元なお話しには、こまった、こまった。